豹牙(ほうが):04 進水式
新艇を海に出すときには「進水式」を行います。 シャンパン開けて仲間内でお祝いというのも悪くないんですが、この進水式という儀式は神に対して行う儀礼です。
天の神、地の神と同じように海には海神がいます。祈るのは神様からご利益を貰うのでなく、新艇が海の仲間であることを神に知らせるためのセレモニーです。 海の神(自然の力)というものは基本的に異物は排除するように働きます。排除されないためには仲間になることを神に報告して供物を供えるということをします。
三方に榊、御神酒、穀物、塩を供えて祝詞(のりと)を挙げます。
1:二拝四拍手 2: 祓詞(はらいのことば) 3: 祓短称詞(はらいのとなえごと) 3: 二拝四拍手 4: 神拝詞を唱えて黙祷 5: 神語を三唱
これらは言霊(ことだま)と云って声に出して唱えることが大切です。
祈祷の後でデッキに塩を盛って御神酒をかけて艇を清めます。 それから風水の護符を焚き上げます。
コックピットのサイドには梵字のステッカー。 梵字の示す不動明王はあらゆる厄災を避けます。
海に漕ぎ出した後はまず森戸神社へ参拝。 あらためて神殿に進水式の報告をします。
「内より起る災無く。外より入来る禍事無し」とひたすら無事を祈るのが基本です。 これくらい礼を尽くしておけば神から祟られる事はありません。
森戸神社の海の参道にあたる菜島の鳥居をバックに豹牙を撮りました。
単に縁起を担ぐということでなく、神や自然を敬い、また畏れを抱くということはアウトドアスポーツにとっては大切な心構えです。 人間としての驕りが事故を呼ぶのだということを常に心に留めておかなくてはいけません。